テストでいい点を取る、試験に合格するなど、目標を達成するためには投げ出したくなっても投げ出さない我慢強さが必要です。
そのため、我慢強さを持っている子どもは、大人になって成功しやすいといえるでしょう。
ではどうすれば、子どもの我慢強さや自制心を養うことができるのでしょうか?
幼児期の知能の高さより自制心の強さのほうが成功には重要である、ということを証明してみせた実験があります。その名が「マシュマロ実験」です。
4歳児の前にマシュマロを置き、「私が帰ってくるまで待ってくれたら、もうひとつマシュマロをあげる」「待てなかったらナシだよ」といって大人は退室します。何分待たされるか子どもは知らされていません。部屋には退屈を紛らわすようなものはなく、マシュマロをつまんだり、お皿を回してみたり、お人形に見立てたりして気を紛らわそうとします。
時間にして15分ですが、我慢できたのは23%です。約7割の子どもは我慢できませんでした。
我慢できた子どもを追跡調査すると、アメリカの大学入学試験のスコアが平均210点も高いことが判明しました。逆に1分と我慢ができなかった子どもは、行動に問題がある確率が高いことがわかりました。
さらに幼児期に自制心の高い子は、大人になってもその傾向が続くこともわかったのです。
ではどうすれば、子どもに我慢強さを身につけさせることができるのでしょうか?
いきなり「30分座って本を読む」など、普段からやっていないことをさせても長続きはしません。
家庭で自制心を鍛える最も効率のいい方法は「しつけ」です。洋服を散らかさない、おもちゃは元の場所に片付ける、お風呂や就寝時間を守らせるなど、日常生活のしつけは子どもも無理なく取り組めます。
好き勝手できないようにするところから始め、小学校に上がれば、これに勉強や習い事なども加えていきましょう。
子どもは楽しいことは続けたいし、面倒くさいことはやりたくないものです。そこをあえて楽しい時間を中断させ、面倒くさいこと好きじゃないことをやらせて自分の欲望を抑える経験をさせていきます。
ただし、しつけが行き過ぎて子どもを押さえつけるようなことになっては逆効果となるので、やりすぎには注意しましょう。幼児教室などを利用して、社会性を身につけさせるのもおすすめです。
もうひとつ重要なことは、子どもの失敗に寛容であること。
自分が何をどこまでできるかは、やってみないとわからないものですが、チャレンジに失敗はつきものです。親は失敗を責めるのではなく、失敗したことで心が折れて諦めてしまうことを防がなくてはいけません。失敗するたびに諦めていたら大きな成果を得ることができません。我慢強くチャレンジを続けられるようサポートをしてあげましょう。
寛容さは甘やかしと紙一重ですが、甘やかしは「子どものわがままを許す」というもの。親が許していいのは“わがまま”ではなく“失敗”です。
我慢強さを、大人になってから突然身につけようとするのは難しいです。将来のためにも、幼いうちから少しずつ我慢させる習慣をつけていくようにしましょう。