近年は心が折れやすく、ストレス耐性がない子どもが増えているそう。そこで注目されているのが、折れにくく傷ついても気にしない力「レジリエンス」です。レジリエンスを育てるには、普段の親子の会話が重要です。
今回はレジリエンスとはどのようなのかご紹介するとともに、心の折れにくい子どもを育てる「会話」のポイントを解説します。
折れにくい心の源「レジリエンス」とは?
「心が折れる」という状態は、心が傷つきストレスを感じている状態です。実は近年、学校において教師から注意を受けて落ち込む、友達関係のささいなトラブルで深く傷つく……といった「ストレス耐性が低い子ども」が増えているといわれています。
このように心が折れやすい子どもに育つ原因のひとつとして「親の無関心、放任、過干渉」があると考えられています。乳幼児期に適切な愛情を受けて育った子供は、自分を大切にし、価値があるという「自尊感情」が育っていきます。この自尊感情があるおかげで、心が傷ついたときに自分で乗り越えたり、適切に人を信じ、頼ったりすることができるのです。
しかし、親から十分な愛情を受けられなかったり、反対に親が先回りして世話を焼きすぎたりすると、「自分で問題を解決する力=レジリエンス」が育ちません。その結果、ちょっとしたことで心が折れてしまったり、解決方法が分からず挫折しやすくなってしまったりするのです。
心が折れにくい子どもに育てるには?
子どもの「折れにくい心=レジリエンス」を育てるには、親子の会話によって柔軟性やポジティブに物事を捉える力、好奇心を伸ばしてあげることが重要なポイントです。レジリエンスを育てるために、親としてどのような声かけをしていけばいいのか見ていきましょう。
「物事の見方」で子どもの柔軟性を伸ばす
子どもによっては「こうじゃないとダメ」「できなければ失敗」というように悲観的に物事を捉えてしまうことがあります。こうした考えを解きほぐすには、「他の選択肢もあること」を教えてあげましょう。「別の方法なら、もっと楽しい気分になるかもしれないね」というふうに、ポジティブな考え方があることを示すのです。
親は子どもの可能性を信じ、自分で前向きな選択が取れるサポートをしてあげましょう。
「考え方の転換」で立ち直る力を育てる
子どもがへこんでしまったときには視野が狭く、ネガティブ思考に陥りがちなものです。それもそのはず、子どもは生まれてから数年しか経っていないため、考えかたの選択肢も少ないからです。
立ち直る力を育むには、考え方をガラリと転換する練習が必要。寒い日に「寒くていやだなあ」というのではなく、「おでんがおいしい季節だね」「サンタさんに何をお願いしようか」など、ポジティブシンキングな会話を心掛けてみましょう。そうすれば、自然と子どもも考え方の切り替えができるようになります。
「楽しむこと」で緊張がほぐせることを教えて
心が折れにくい人には「緊張をほぐすための“楽しみ”を持っている」という人も多いものです。子ども自身が楽しみを見つけるには、親がさまざまな体験をさせてあげることが大切。スポーツや習い事、食べ物、動物と触れ合う……など、どんな経験でも財産になります。その中で自分の心を癒してくれるものや、ストレスを解消できることを見つけられれば、しなやかな心を持つ子どもに育っていくはずです。
心が折れにくい子どもに育てるには、特別なことは必要ありません。毎日の接し方を工夫し、適切なかかわりを持てばよいのです。また「子どもに自信を持ってもらいたい」という親御さんは、幼児教室に通わせ、できることを増やす機会を作ってあげるのもよいですね。子どもの可能性を伸ばしてあげたい、という方は、関わり方や体験を通じて折れにくい心を育てることを意識してみましょう。