近年、日本の子どもの「読解力」の低下が問題視されており、2018年度に行われた「学習到達度調査(PISA))では前回の8位から15位へと下がったと話題になりました。
読解力の低下の原因は、生活時間をテレビやユーチュブ、アプリやゲームなどに割く時間が増加し、人との対話が減っている子どもが多いことが挙げられています。
いっぽうで、現在小学校の授業ではグループディスカッションやプレゼンテーションを行う場を増やす取り組みが始まっています。また、学年が上がるにつれて成績を伸ばすのは「聞く力・話す力」が備わっている子だとも言われており、その根底にあるのが「読解力」。さらに入試問題でも読解力が試されるものが増えているようです。
読解力は、絵本の読み聞かせによって幼児期から養うことができます。今回はその方法について紹介いたします。
読解力とは?
「読解力」とは、話している相手や物語に登場する人物の言いたいことや気持ちを深く理解できる力を指します。これは、絵本の読み聞かせによって、話の内容をイメージするところから始まり、家族や友達などとの対話の経験を重ねることで培われていくものです。
話のなかで相手の言いたいことを理解し、そしてそれに対する自分の気持ちや考えを言葉で表現する力は、社会に出てからにおいても重視され、苦手意識を持ってしまうと生きづらさまで感じてしまう人もいるので、子どものうちに力を付けておきたいものです。
絵本で読解力を育てる方法
1.リラックスタイムに絵本の読み聞かせ習慣をつけよう
絵本の読み聞かせで読解力を伸ばすには、寝る前やお風呂に入る前などの親子ともにリラックスができる時間帯に、読み聞かせを習慣的に行うようにしましょう。そうすることで、まずは子どもに「絵本」を楽しいものと認識させます。
読解力を育てるには、絵本が好きになることが大前提なのです。
2.読み聞かせの中で理解を促す声がけをしよう
絵本の読み聞かせを進めるなかで、少しずつ長い文章の絵本にステップアップしながら、理解を促す声がけを入れていきましょう。
たとえば、次のような声がけです。
「いちごが好きなのは、うさぎさんだったね」
「くまさんが犬さんに渡したのは、クレヨンだったね」
「最初に滑り台で遊んで、そのあとブランコで遊んだのね」
こういった声がけを聞きながら、子どもは絵本の内容をより理解するとともに、頭の中でイメージしたものを言語化する方法を学んでいきます。
3.子どもから言葉を引き出そう
次に、少しずつ子どもに質問を投げかけていきます。子どもが無理なく答えられるものから質問をするようにし、間違っていても指摘をせずにヒントを与えたり、別の角度から質問をしたりしましょう。
たとえば、次のような質問です。
「おじいさんは、何をしに山へ行ったのかな?」
「妖精は何って言ったのかな?」
「どうして男の子は泣いていたのかな?」「どんな気持ちだったのかな?」
「この男の子のこと、どう思った?」
こういった質問への回答を繰り返す、頭の中で理解しているものを言語化することに自信をつけていくことができます。
絵本の読み聞かせを活用した親子の対話は、読解力を育てながらコミュニケーションの楽しさも知ることができます。ぜひご家庭で、試してみて下さい。
絵本の読み聞かせで養った読解力は、友達など家族以外の人を含め人との対話を増やすことで、聞く力や話す力を伸ばしていくことができます。
幼児教室などさまざまな人と接することができる環境は、そういった力を伸ばすためにも役立つ場となることでしょう。