空間認識能力(spatial perception)とは、三次元の空間において物体の位置や向き、形や大きさなどを正確に認識する能力で、空間認識力、空間認知能力、空間把握能力とも呼ばれています。
空間認識能力は、わたしたちの日常生活におけるさまざまな事に役立つ能力として知られつつありますが、この能力がめざましく育つのは3~5歳の幼児期だと言います。
そこで、空間認識能力は具体的にどのようなことに役立つのか、そして能力を育てるために幼児期に何をしたら良いのかについて、紹介いたします。
空間認識能力は何に役立つの?
空間認識能力は三次元で物を正確に認識する能力であり、実際に三次元で見ていなくても物体を多角的に把握できる能力です。空間認識能力を備えていると、紙に描かれた図形など二次元で見た物についても、さまざまな方向から物体の形状や位置関係を把握でき立体物をイメージしやすいため、絵や立体図面が上手に描けるようになるといいます。
また、空間認識能力を育てることで、静止した物体に限らずボールなど動いている物体の速度や向かう方角も把握しやすくなります。ボールと自分の位置関係を正確に把握することで、球技全般において上達が見込めます。
テニスや野球、サッカーや卓球など、多くのトップアスリート達は空間認識能力が優れていると言われています。
その他、地図を見て現地点と目的地までの位置関係の把握、横断歩道を渡る際に車が自分に近づいてくるスピードの把握、そして車の運転においても対向車や障害物との距離感の把握など、日常生活においても多くのことに空間認識能力が関係しています。
空間認識能力を育てる方法
空間認識能力が最も育つ幼児期には、空間認識が必要となる遊びを意識的にやらせて、繰り返すうちに能力が育つと言われています。空間認識能力を育てることに繋がる遊びを紹介いたします。
1.積木・ブロック
頭で描いた立体物を積み木やブロックを使って作成したり、出来上がった作品を別の角度から見て確かめたりすることで、空間認識能力を育てることに繋がります。
2.折り紙
折り紙は平面の紙から立体物を作り出せるため、空間認識を刺激する遊びとして知られています。
3.ジャングルジム、アスレチック
ジャングルジムなどの遊具の中に入り、どのくらい手や足を伸ばせば遊具に届くのか、どの程度頭を下げればぶつからないのかを体感するなかで、空間認識能力を育てることに繋がります。
4.ボール遊び
ボール遊びは、ボールと自分との位置関係で空間認識が必要となるため、空間認識能力が育ちやすいと言われる幼児期に積極的にボール遊びに親しんでおきましょう。
さまざまな大きさのボールを使用し、転がるボールを手でキャッチしたり足でけったり、飛んでくるボールをキャッチするなどをするのがおすすめです。
4.鬼ごっこ
鬼ごっこは、追いかけてくる鬼に対して逃げる方向やスピードを自然と体感できるため、空間認識能力を育てることに繋がります。
空間認識能力とは何か、そして幼児期に育てる方法について紹介いたしました。
危険回避も含めて生涯に渡って多くのことに影響する空間認識能力。幼児期のうちにしっかりと育てておきたいものですね。
幼児教室では、幼児期の子どもにさまざまな体験をさせることで、個々の能力を伸ばしていく取り組みがあります。ご家庭での働きかけが難しい場合は、幼児教室を活用されてみてはいかがでしょうか。