お絵描きは、子どもの自己肯定感を高めるとして、習い事としても人気があります。
そんななか、絵を描くのが上手になるためには、2~3歳のころにお絵描きが好きになるのが大切だといいます。
そこで今回は、お絵描きによって得られる効果と、子どもがお絵描き好きになるために、親はどのような見守り方をすればよいのかについて、解説したいと思います。
お絵描きで得られる効果とは?
知能の発達を促す
お絵描きは、クレヨンやペンを手に持ち、強弱や角度をつけて繊細に動かします。文字を書く前の練習にもなりますし、指先の神経は脳の神経に直結しているため、脳の神経が刺激されて、知能の発達を促す効果も得られます。
空間認識力を養う
お絵描きは、奥行のある立体的な物を紙という平面に表現します。そのため、立体的なものを把握することができる空間認識力が育つと言われています。
観察力と表現力・構成力を育てる
お絵描きは、描きたいと思ったものを子どもなりに観察して表現します。1枚の紙に描き表すための構成力も自然に意識するようになり、お絵描きを通して感性を育てることができます。
心の安定に役立つ
お絵描きにはストレスを解消し、心を安定させる効果もあります。特に、さまざまな色を使った色彩豊かな絵を描くこと、そして自分で最後まで取り組み完成させること、描いた絵に子ども自身が満足することによって、その効果は大きく得られるといいます。
お絵描きには正解がないので成功体験を得られやすく、成功体験を繰り返すことで自己肯定感が強まっていきます。
お絵描きをする子どもへの関わり方
画材は惜しまない
子どものお絵描きだからと画材を限定させず、できるだけ色数の多いもの、用紙も大き目のものを与えるようにしましょう。カラフルなものが好きな子どもは多いものです。24~36色程度の色から自分で選べるようにしてあげることで、色彩感覚を養うことができ、表現の幅も広がります。
子どもの絵を評価しない
幼い頃の絵は、どれも同じぐちゃぐちゃな落書きに見えます。しかし、子どもにとっては意味のあり、一生懸命に書き上げた作品です。ついつい上手くなって欲しいばかりに、「こうした方がいいよ」「もっとこうしよう」など口を出したり、見本を見せて描き直させたりしがちですが、子どもが描いたものは個性としてそのまま受け入れるようにしましょう。
お絵描きの表現には男女や性格による差もあるため、他の子と比べるのもよくありません。
「上手だね」ではなく感想を伝えよう
子どもは、上手に絵を描くためにお絵描きをするのではなく、描くことが楽しいからするものです。子どもの自己肯定感を上げようと「上手だね」と褒めていると、上手に描くことが大切なのだと考えるようになり、上手に描けないと感じるとお絵描きが嫌いになってしまいます。
そのため、子どもの絵には具体的に感じたことをそのまま伝えるのがおすすめです。たとえば「この色合いがきれいだね」「なんだか見ていて楽しくなる絵だね」「ここがすごく細かく描けているね」などです。
大人の固定観念を押し付けない
大人が上手だと思う絵を見本として与えすぎると、子どもは自分の描きたいものが描けなくなっていきます。親御さんが気に入る絵を描こうと、見本をそのまま真似して描くようになり、自分の心で感じたことや頭でイメージしたことを表現する力を失うことに繋がります。
また、子どもの絵が何を表しているか不明でも、「これ何?」と聞き過ぎないのも大切です。子どものお絵描きは、実在するものを描いているとは限らず、自分でも途中からわからなくなっていることが多いもの。何か聞かれても答えられないことが多いものです。
幼い子どものお絵描きは、描いている時間を子ども自身が楽しめるかどうか、が最も大切です。お絵描きによる子どもの個性の表現を、周りの大人が狭めてしまわないようにしたいものですね。
また、子どものお絵描きは、自分で他の子どもの作品を見ることで、無意識のうちに表現の仕方やアイデアを吸収していくものです。絵画教室や幼児教室などへ通うことで、ぐんぐんとお絵描きが好きになり、上達を実感できるようになるかもしれません。