子どもをアートに触れさせる方法は? 芸術の国と比較した日本の課題

豊かな感性や人間性を育むとして、幼児の習い事としても人気のある絵画教室。 「STEM教育」に「ART」アートが加わり「STEAM教育」が推進されるなど、教育においてもアートの重要性が叫ばれるようになりました。
しかしながら、現在でも日本の子どもがアートへ触れる機会や関わり方は、芸術が盛んなヨーロッパの国々とは大きく異なるといいます。

そこで今回は、フランスの事例や欧米との比較を通して、子どもがアートへどのように関わるのがよいのか、について解説いたします。

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日本の学校教育におけるアートの存在

日本の学校教育におけるアートのあり方では、1998年と2008年の2回にわたる文部科学省指導要領改訂により、作品を通して表現するだけなく「鑑賞」を取り入れ、アートを「見て感じ、考える」という観点を取り入れるようになりました。 しかしながら、学校教育のなかでのアートの時間は縮小されつつあり、この60年で約35%も減少しています。

フランスにおける子ども達へのアートの取り組み

日本よりも圧倒的にアートの授業数も多いフランスにおいて、日本と異なる特徴には次のようなものがあります。

・幼児期から本物を観賞する機会が多い
幼児期から美術館に出向いて、本物の絵を観賞しながら模写する機会もあります。
模写することで作品への鑑賞力も養え、作品や作者への洞察や理解へと繋がります。

・学校と地域の美術館との連携によるアーティストとの交流
国の取り組みとして、子ども達がアートに親しむプログラムを通して、子どもたちの個性や情緒を養っています。

・アートの授業に教科書がない
アートを制作するのに、教科書によるテーマや見本はなく、子ども達の感性にまかせて自由に制作させ、それに対して先生がコメントします。

・小・中・高校で「芸術の歴史」の授業がある
アートを表現したり鑑賞したりするのに加えて、芸術の歴史を学ぶことで知識をさらに吸収します。

アートにおける日本と欧米との比較

日本のアート教育ではテクニカル面を重視するのに対し、欧米のアート教育では、コンセプトやプロセスが重視されると言います。
日本の幼稚園などで行われるアート制作では、幼稚園の教諭や保育士が一斉保育のなかで行うことが多いため、どうしても画一的な作品を制作する傾向があるのに対し、欧米では、ほとんどの場合においてアートの専任講師が指導し、子どもたちが自分でやりたいお題を探して、自由に作品を制作します。
このスタイルは大学まで続き、自分の心と向き合いそれを表現する力が身についていくといいます。

また、鑑賞においても、意見や感想を発表し交換する場が設けられており、正解のないアートを通した「多様性」への理解、「観察力」「分析力」なども鍛えられていくのです。

フランスや欧米の子どもたちのアートへの関わりを知ると、日本でもアートを通して、子どもたちの能力を伸ばしてあげたいと感じます。

子どものアート教育は、単に芸術的センスを伸ばすだけでなく、子どもたちの多くの能力を伸ばすのに役立ち、社会人になってからの成功に結びつくといいます。

日本の美術館では、大人のためという印象が強く、子どもが楽しめる雰囲気がまだまだ薄いようですが、子どもたちにアートへ触れる機会を増やし、もっと自由に楽しめることを伝えてあげたいものですね。

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