お絵描きを通して伸ばしたい! 子どもの想像力と自己表現力
お絵描きは、絵が上達するだけでなく、子どものさまざまな力を伸ばすことはご存知でしょうか。特に、幼児期のお絵描きは、その後の学習や自己肯定感に良い影響を及ぼすとして、お絵描きを積極的に保育に取り入れる園も多いようです。
今回はそのなかでも、「想像力」と「自己表現力」に注目し、お絵描きがどのようにそれらの力を伸ばすのか、について解説したいと思います。
お絵描きを通して伸ばせる想像力
想像力とは、目の前に存在しない物や見えない気持ち、経験などを想像する力です。子どものお絵描きは、デッサンやスケッチ、模写などの絵画と異なり、多くは想像画だと考えられています。頭の中で、自分のイメージをふっくらませながら、実在しない物を描いていきます。
実は、常識などに捕らわれて頭が固くなってしまった大人よりも、幼児期の子どもの方が想像画は得意だと言われています。
子どもは目の前に見えるものを表現する際も、その裏側や上から見た状態や中身を想像し、自分の頭の中で思い描いた様子を書きあらわしていきます。それは、大人によって正解か不正解かを判断されるものでは決してなく、イメージをどこまで膨らませられるかが重要だと考えられています。それによって、想像力は鍛えられていき、心の成長へと繋がっていくからです。
お絵描きを通して伸ばせる自己表現力
形のある物を描く具象画に対し、色や音、状態などの感覚的なものを表現する抽象画も、子どもはよく描きます。そして抽象画を通して自分の気持ちや気分を表現することも、大人より子どもの方が容易に行えると言われています。つまり子どもは、既成概念に捕らわれることなく、自分の内側をお絵描きで表現できるということです。
また、子どものお絵描きは、目で見えている物よりも、知っていることや、好きな色、好きな形などを表現します。まだ言葉でうまく表現することができない子どもにとって、お絵描きは自己表現をしやすい手段であり、お絵描きを通して自己表現力を養っていると言えるでしょう。お絵描きが好きな子は、伝えたいことがたくさんあるのかもしれませんね。
つまり、大人は子どもが描いたお絵描きに対し、子どもの気持ちを読み取ってあげることで、さらに自己表現力を伸ばしてあげることができます。子どもはそれによって、お絵描きがどんどん好きになり、描きながら自己表現を行うことの楽しさを感じ、やがて人との豊かなコミュニケーションにも繋がることでしょう。
子どものお絵描きが、「想像力」と「自己表現力」をどのように伸ばすのかについて解説いたしました。
子どものお絵描きは、一見意味のないように思えるものが多いですが、子どもが絵を見せに来た際は、しっかりと観察し、上手か下手かではなく、それを描いた子どもの気持ちに寄り添ってあげたいものですね。